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大阪市中央区 北浜 淀屋橋 肥後橋で
鍼治療 妊活(不妊治療) マッサージ 美容鍼なら
【 しせい堂治療院 】
1966年生まれ
1988年行岡鍼灸専門学校卒
国家資格:あん摩・マッサージ・指圧師 はり師・きゅう師 臨床歴35年以上のベテランです。
当院ではいわゆる中医学的な考えではなく現代医学的なアプローチで施療にあたっております。
整形外科などで画像診断しても原因が分からない、どこに行ってもよくならない痛みでお悩みの方、妊娠中のつらい症状でお困りの方、不妊症の代替補完療法としての鍼・マッサージ療法をお探しの方はお気軽にご相談ください!
当院では受胎鍼(不妊症治療)や
マタニティケアも施しております。
不妊症の代替補完療法をお探しの方や妊娠中の肩こり、腰痛、つわりなどでお困りの方にもおすすめいたします!
しせい堂式マッサージの説明
さて、このページではしせい堂式のマッサージの仕方をご紹介いたします。しせい堂での鍼治療については北京堂の浅野先生・二天堂の中野先生のところに詳しく出ておりますので、ここでは効果的なマッサージの仕方について説明します。どちらかといえば一般の方より、同じ業種の方向けの内容になると思います。
施術者は受け手側が120%リラックスできるよう細心の注意と集中力を駆使して施術に勤めなければなりません。施術中にほかの事を考えていては最高のパフォーマンスを望めないどころか、クライアントに不快な思いをさせることは確実です。また、うっかり指を痛めるなど思わぬことを引き起こします。ですから最高の施術を毎回施す為にも、何より施術者自身、身体と心の健康を保つべきでしょう。施術中は心配事なんか忘れましょう。気持ちを静かに落ち着けて、ベストパフォーマンスに勤めましょう。ちょっと長くなりそうですが興味のある方はご一読ください・・・
クリニカルマッサージのところにも書いてありますが、しせい堂式のマッサージの特徴はソフトでディープな手技にあります。別名「まったり系マッサージ」と呼んでます。まったり、ゆっくり、ディープで力強いマッサージはリラックス効果絶大です。 しせい堂式マッサージとはわかりやすく言えば「指圧」と「あんま」をミックスした、その両方のいいとこ取りをしたものなのです。
この手技をマスターすれば、他の療法(たとえばオイルマッサージ)にも応用でき、治療の幅が広がることは間違いありません。まぁ日本(東洋)のディープ・ティシュー・リリース・マッサージだと思ってください。ソフトでディープな手技で、奥のほうの筋肉を確実にほぐせます。ただ、かなりしっかりと押圧しますのでよほど指を鍛えなければなりません。施術時間の95%程度は拇指(親指)を使いますので特に拇指(親指)を鍛えます。そして利き腕と同じように反対の腕でも施術できなければなりません。片方の腕だけで施術するとすぐにオーバーヒートして、一日に何人も長時間施術できません。必ず左右の手を同じようにつかえるようにします。
圧のかけ方ですが、触り始めはなるべくやさしく、ジェントルタッチで、徐々に圧加減を上げていきます。また同じ部位にたいしては圧が徐々にかかるように、また圧を徐々に抜いていくようにします。なるべくやさしく、そして力強く、受け手側が安心して身をゆだねられるよう細心の注意と集中力を駆使します。ガッツンガッツンはいけません。自分のことだけではなく、受け手のことだけを考えましょう。常に「自分だったらこういうふうに触ってほしいなぁ・・・」ということを思いながら施術します。
そして押圧にはうで力ではなく、なるべく自分のウェイト(体重)を使いましょう。小手先だけの施術はやはりすぐに疲れてしまい、仕事にならないからなのです。 ウェイトをうまく利用するには施術する体勢は大事です。わたしの経験では、一番効率よく圧をかけることができるのは、いわゆる床もみ(とこもみ:要するに床に薄目の布団をしいてその上で施術するやりかた)その次は自分の体格にあった広めのマッサージベッドでの施術です。施術中にはしばしば自分のひじを自分のひざや体幹でフォローしますので、床もみするときと同じくらいの高さ=自分のひざぐらいの高さのベッドが理想的です。ちまたによくあるようなクイックのマッサージチェアはよくありません。ウェイトを利用できないばかりかクライアントの身体が充分にリラックスせずマッサージの効果も半減します。やっぱりマッサージはゆっくり横になって受けなくちゃ!
実際にクライアントを前にして、初心者がまず思い悩むのが「いったいどうやってさわればいいのか?」「どうやったら満足してもらえるのか?」「自分の施術はこれでいいのか?」などなど不安との戦いだと思います。それに打ち勝つのはやはり練習あるのみです。そして意外と大事なのは「どこからどうやって施術を進めていくか」ということなのです。これはわかってみると簡単なのですが、そうやすやすとは教えてくれることではありません。またわかっている人が少ない、あるいはわかっていても教えることを出し惜しみしている節もあるようです。ちまたの整体学院や民間のスクーリングまたは勉強会などで法外な料金で教えているようですが、使い物になるのはほとんどありません。実際わたしの知り合いの鍼灸・マッサージ師(当然国家資格取得者)の先生も「今までいろんなセミナーで一千万円ほど使いましたがどれもダメでした・・・」と言ってました。いつの間にか貯金がなくなってたので奥さんに怒られたそうです。ほんとかいな?
そこでこのページでわたしが「こうしたらクライアントに満足してもらえるよ・・・」ということを紹介します。 上にも書きましたが、押圧の基本であるゆっくり、ソフト&ディープで力強い手技が一番大切なので、そのことは肝に銘じてください。片時も忘れてはいけません。そしていよいよクライアントを迎えるわけですが、まぁ簡単なカウンセリングとともにどこが一番つらいか、どういうふうにつらいかを問うことはみなさん当然していると思います。えっ、自分はしてないって・・・!してない人はこれからは必ずしてください。大事なことですから。 マッサージを受けようという人は、まぁだいたいが首、肩のこり・腰痛・頭痛・全身疲労感を訴えてきますので相場は決まってますが、初診時はその方が普段どういった治療あるいは施術を受けているかも聞いていれば、その方がだいたいどの程度施術を受け慣れているか想像がつきます。あと首・肩・上肢・腰・下肢などは左右どちらのほうがよりつらいかも聞くべきです。当然ですがこりが強い(症状が重い)部位に時間をさくようにするからです。同じクライアントでもその日によってコンディションが違いますので必ず毎回確認します。本人が左右差がわからなければ、必ず実際に触って確かめましょう。確率は左右1/2にしても、間違っても勘(当てずっぽう)に頼ってはいけません。はずれたら結構へこみます・・・施術時間を有効に使う為には問診上避けては通れないところですね。あとここでは40分以下の部位のみの施術ではなくおおむね60分以上の全身の施術について述べていきますのでそのつもりでお願いします。
しせい堂ではまずつらい症状のある側を上にして横向き(側臥位)に寝ていただきます。基本的には一番つらい部位から触っていきたいのですが、うちでは腰がつらくても足がつらくてもとりあえず肩からさわっていきます。施術時間のコントロールでしのいでいけますので、クライアントに「そこじゃなく、足を先にしてください」などといわれても「あとでゆっくり触りますから安心してくださいね・・・」とにっこり答えれば納得してくれます。これが40分以下のクイックだったら難しいので、素直にそれに従います。それと全く首や肩がこっていない人には首・肩は触りません・・・ あと、いかにクライアントの身体を安定させるかも大切です。
鍼治療のときもそうですが、治療するときのクライアントの体勢によってその効果もずいぶん違います。しせい堂式マッサージの場合は、やはりある程度しっかりと圧をかけるので、受け手の身体を安定させることが効果をあげる大事な要素となります。わたしは横向きに寝てもらうときには上半身が自然に安定するように、上に重なっているほうの足を前にずらして落としてもらい、股関節・膝関節をそれぞれ90度弱屈曲してもらいます。ただこれが絶対というわけではありませんので、それ以外にクライアントが楽で安定した体勢があればそちらを優先します。出来るだけがっつり安定させましょう。
押圧の「力加減」ですがわたしはいつも施術に入るときに「いた気持ちのいい力加減が最適ですので、痛すぎたり、ゆるすぎて応えない場合は言ってくださいね。また触る部位によっても感じ方が違いますので、いちいちその都度言ってくださいね」と伝えます。自分の身体なら何も言わずにわかりますが、他人の身体ですので不安です。施術の最中にも何度か「力加減はどうですか?きつすぎたり、ゆるすぎたりしませんか?」と確認します。なにせこういうしっかりした筋肉マッサージはドーゼ(そのクライアントに最適の刺激量)のコントロールが肝となりますので、いくら経験をつんでも毎回確認します。同じ人でも日によって当然にコンディションが違いますので必ず確認します。ドーゼオーバーはもみおこし(リバウンド)の原因にもなりますし、強すぎる力加減だと受け手の身体に力がはいってお互い体力を消耗するだけです。(あーしんど・・・)また弱すぎてもこりはほぐれてくれないので、面倒でも確認しましょう。あまり頻繁に確認しすぎると「この人だいじょうぶかいな」と思われるので注意が必要ですが、慣れてくるとクライアントの身体の反応(身体のひくつき加減や力の入れ具合、顔の表情の変化などなど)でドーゼを見極めることも出来るようになります。
さて、肩から触っていくといいましたが肩にもいろいろありまして、肩のどこから触ればいいのかという疑問がありますが、ズバリそれは「首と肩が交差するポイント」といえばおわかり頂けますでしょうか。要するに首が肩についているギリギリのところです。このポイントは筋肉で言うと中斜角筋・後斜角筋・板状筋・肩甲挙筋・僧帽筋(もっともこの段階では僧帽筋はメインターゲットではありませんが・・・)など肩こりさんが通常こりを強く訴える筋肉の宝箱みたいなものでして、このポイントをスルーする、あるいはしっかりほぐせない施術家は一生ヘタッピの烙印を押されることになります。ファーストタッチでここを上手に押圧できるか・できないかで受け手のあなたに対する心象がかなり違ってきます。そして肩こりを訴える方は間違いなくそこに触れてほしいのです。ここに拇指を沈めこみ、しっかりと圧をかけてゆっくりと柔捏します。しせい堂式で用いる拇指圧迫柔捏ですね。いわゆる「押しもみ」です。
初心者の方、あるいは最初に教わった師匠が悪い癖を持っていた為に、この押しもみができない人がほとんどですね・・・確かに指が痛いし、しんどいかも知れませんが拇指圧迫柔捏を身につけると格段に触診力が上がりますので、鍼を打つにも申し分ありません。なんといっても鍼は指の延長ですから。 そして「はじきもみ」(ギターや三味線の弦をはじくような荒っぽいもみかた)や「ワン切り」といってひとつの部位をたった一回しか柔捏をかけないもみ方、「揺らしもみ」といってクライアントの身体がゆさゆさ揺れるようなもみ方はよくありません。しっかりと「こり」を押圧して「出来るだけ静かに」クライアントの身体に負担をかけずに「もみほぐす」んです。必要に応じて膝や体幹で自分のひじをフォローします。そして柔捏の方向は線状柔捏(筋繊維の走行に対して直角に)、らせん状柔捏(硬結をグリグリと円を描くように)と使い分けますが、いずれも一方向ではなく双方向に柔捏をかけます。往復ビンタみたいなものです。同じ箇所を最低でも3回は行ったりきたりします。多ければ5回ほどですか・・・空いているほうの手で施術しているほうの指をフォローしたりもします。押圧が安定して術者も楽が出来ます。
最初の術者の立ち位置はクライアントの頭の上方です。 先ほどのポイントに正確に拇指がヒットすれば肩甲骨あるいは胸椎(人によっては腕やひじ)のほうへ心地よい痛みが響きます。あぁこれがトリガーポイントなのかと思うこともあります。(もっともわたしはトリガーポイント療法の「短縮痛」という概念については?ですが・・・)ここに深鍼をするのも大変効果的で、しせい堂の肩こりの鍼治療では必ず刺鍼します。 柔捏をかけていると石のようにこり固まっていた筋肉がだんだん緩んでくる(リリースする)のがわかります。筋肉が緩む=やわらかくなることを英語では「リリース」といいますすが、この言葉には「ほどける」という意味もあるようで、なるほどなぁと思います。触っているとわかりますが、こり固まった筋肉がほどけてやわらかくなって溶けていくような感じですね。この感覚を味わうと施術者としても癖になります。施術者もクライアントもすごく満足のいく瞬間です。リリースの感覚がわからない人はもっと練習しましょう・・・練習すれば必ず体得できます。
「首と肩が交差するポイント」の筋肉が、ある程度リリースしたら次は肩上部を肩峰に向かってもみ進みます。この段階でのメインターゲットは斜角筋群・僧帽筋・棘上筋などですが、これまでで使っている手はクライアントの右肩を施術している場合は右手の順手、左側を施術している場合は左手の順手(順手というのは自分の手背が上側・上方にある状態)を使います。気を抜かず力加減をコントロールしましょう。クライアントの身体の反応や顔の表情(きつそうなら目じりあたりにこらえているような表情が現れます)を読み取ります。
肩上部を外側にもみ進むうちにふと気がつくことがあります。それは、当然ですが筋肉(ここでは僧帽筋や棘上筋)のボリュームがその停止部分に近づくにつれて小さくなることです。ここで大事なことは力加減をどうするかということです。なぜなら同じ筋肉でもその部位やボリュームによってドーゼが違うからです。わたしの経験ではドーゼはその筋肉のボリュームに比例します。ですので同じ筋肉でもボリュームの大きな部位では強めに、小さなところでは弱めにというように力加減を変えていきます。どこでも同じように一本調子ではダメなのです。このことは他の部位でも同じことですので覚えておいてください・・・ ここで普段腕をよく使うクライアントに対して鎖骨上禍(胸鎖入突筋の鎖骨枝 経穴でいう穴盆ですか)を押圧します。美容師さんや編み物をよくする人(中途半端に腕を持ち上げる動作が多い人)が症状を訴えます。上肢に響き(けっこうビンビン響きます)がありますが好き嫌いがはっきりしますので力加減には細心の注意が必要です!嫌がる人には深追いは禁物です。
つぎは手を変えて逆手で先ほどと同じところを施術していきます。(右肩を施術しているなら左手の逆手、左肩なら右手の逆手というように)正確に斜角筋・僧帽筋・棘上筋に柔捏をかけていきます。ゆっくりと丁寧な手技を忘れないように気をつけましょう。術者の立ち位置はクライアントの上背部斜め後方。このあとの段階で順手に変えて棘上筋を後ろのほうから柔捏します。これが結構きもちいいです。そしてこの後いよいよ肩甲骨間へと進んでいきます。この肩甲骨間から上背部についても非常に大切な部位ですのでみなさん充分練習してください。肩・首・背中をきれいに取れれば7割がたOKだと思います。逆にそれが出来なければぜんぜんダメなんですけど・・・ さ
て、肩上部がある程度ほぐれたら順手のままで最初に触れていたラインの少し後ろをほぐします。筋肉で言うと僧帽筋・肩甲挙筋・小菱形筋です。頚椎6~7番、胸椎1番ギリギリから肩甲骨内上角に向かってゆっくりともみ進みます。すべての部位で同じことですが、筋肉の走行に沿ってきちんと端っこから端っこまで触るようにしてください。ただ骨もみはやめましょうね。骨膜炎など起こすかもしれませんから。もむのは筋肉で骨ではありません。骨はほぐれないのです。
このラインも充分リリースしたら次は肩甲骨内側縁を上から下に向かってもみ進みます。いわゆる「肩引き(けんびき)」です。筋肉で言うと第1層で僧帽筋・第2層で小菱形筋・大菱形筋ですが、メインターゲットは後者の2筋となります。内側縁のどこまでもみ下がればいいかといいますと、それは僧帽筋の下縁がエンドラインとなります。エンドラインに近づくにつれて使っている手をかえましょう。そのほうがやりやすいです。肩甲骨を引っかけないように注意しましょう。
肩引きのラインが終われば今度はその内側(親指1本分脊柱より)のラインを同じように上から下へ触っていきます。そしてその次に上背部の脊柱起立筋に触れていきます。この部位の脊柱起立筋は非常にわかりにくく、指で触れるのが難しいのですががんばってとるようにしてください。できれば脊柱ギリギリのラインも狙い撃ちしましょう。ここら辺がきれいにとれればクライアントの満足度が格段に上がります。でも正直かなり難しいです。
上背部がある程度リリースしたら最初の部位(肩上部)に戻って最初と同じ手技を施します。なぜかというと、ここでどれくらい肩上部がリリースしたかを確認するのです。結構緩んでるとうれしくなります。緩みがもひとつだと思ったら首が終わった後でまたほぐします。確認程度でいいのでさらっと触って頭にいきます。
頭の施術ですが、簡単なようでそうでもないです。というのは頭についている筋肉はどれも比較的薄く、ドーゼも低いので繊細な力加減が必要です。ここでは拇指ではなく四指を使います。よほどきつい人には拇指でもかまいません。まずこめかみから触ります。頭痛や眼精疲労など持っているクライアントならこめかみから耳の上辺りの側頭筋が固くなっていたりぶよぶよしていたりします。やさしくしっかり触ってあげましょう。そして耳の後ろをとおり上項線や乳様突起・外後頭隆起の僧帽筋の付着部も丁寧に触れます。めんどくさがってはいけません。
この流れでいよいよ頸部に突入しますが、またまた重要な部位なので集中力が必要です。 さて、頸部を施術するときどこから触り始めればいいか迷うところです。いわゆる按摩理論によると施術の流れは遠心性(身体の中心から末梢に向かう)だということになってますが、これに従うと肩と首の付け根から頭に向かって施術することになります。でもそれではしせい堂式だと施術の流れ的に美しくありません・・・いろいろと思い悩んだ末、頸部の施術については按摩理論を無視することにしました。ごめんなさい。ですので上項線や乳様突起・外後頭隆起が終わった後、そのままの流れで後頭下筋群になだれ込みます。ほらね、手技の流れがつながってやりやすいでしょ。
後頭下筋群はまた重要な部位です。ここがこると、頭痛や鼻づまり・目の疲れ・咽の違和感・耳鳴り・奥歯が浮いたような感じで痛み、ものが噛めないといった症状に見舞われます。逆にここをほぐせばそのような症状がたちどころに消えていきます。触っただけで頭痛が治るなんてと思う人がいるかもしれませんがほんとの事です。 話は戻って、まずどこから触るかというと、ファーストタッチで経穴で言う風池あたり、頭半棘筋や上頭斜筋辺りを狙います。比較的わかりやすいグミのような硬結が触知できるでしょう。人によっては石のような硬結があることもしばしばです。そこをゆっくりとソフトな感じで拇指(クライアントの右頸部なら右手の、反対なら左手の拇指)で押しもみします。デリケートゾーンですので力加減に注意しましょう。頭のほう、目の奥あたりに響きます。このとき術者の立ち位置はクライアントの頭の上方になります。力を安定させる為に立てひざをして膝で肘をフォローしたり、反対側の手を拇指にかぶせるようにしてもいいでしょう。そこがリリースしたら次は親指半分後方(経穴で言う天柱、筋肉では僧帽筋・頭半棘筋・後頭直筋)を触ります。その次は外側の完骨あたりというふうに、後頭骨の後縁に付着している後頭下筋群を横一線上をずれるようにしてもらさず触っていきます。このときついでに天柱・風池の上方、上項線あたりの項靭帯付着部も拇指柔捏で触っておくと喜ばれます。 後頭下筋群の次は風池・その少し後ろ・天柱・完骨から伸びるそれぞれの筋肉に対するアプローチです。風池のラインはおもに斜角筋、その少し後ろは頭板状筋・僧帽筋、天柱のラインは半棘筋・僧帽筋、完骨のラインは側頸筋・胸鎖乳突筋鎖骨枝、などを意識して触れていきます。先にも述べましたが各筋肉の端から端まできちんと触りましょう。中途半端に触るぐらいなら最初から触らないほうがいいのです。クライアントに充分な満足感を持ってもらう為にも丁寧な施術は必須なのです。ここいらへんでクライアントの口からため息のひとつでも漏れればなかなかいい線いってると思います。(ただし安堵のため息に限ります。あきらめのそれでは救われません・・・)
側頸部・胸鎖乳突筋はまたドーゼが低いので要注意です。 一様に頸部の筋肉がリリースしたらまたまた最初のポイントに戻ります。そして肩上部のほぐれがいまいちであればここでまた肩上部を丁寧に触ります。ここまでで身体の片方の施術時間の半分強ほどを消費します。けっこう大変ですよね。この後は上肢に進んでいきます・・・ 余談ですが、頸部や肩上部・上背部の筋肉は呼吸する(特に息を吸う)ときの補助筋としても作用します。ですからここら辺の筋肉がこって硬くなると、息がしづらい・胸がつまったような感じになるといった症状を訴えます。また、肺気腫や気管支喘息などの呼吸器系の疾患を患っている人も、呼吸をするとき(特に吸気時)に胸郭を広げる為に頸部や肩上部・上背部の筋肉をけっこう使います。ですので前述のような症状を訴えるあるいは呼吸器系の疾患をお持ちのクライアントに対してはこの部位をなおさら丁寧に触れる必要があります・・・
続いて上肢に入ります。一連の流れから次に肩甲骨後面の棘下筋・大円筋・小円筋を拇指柔捏していきます。肩甲骨後面の筋肉群は比較的ドーゼが低くまた神経の存在も浅いので、ここを触るときは頸部以上に繊細さが必要です。決して荒っぽくならないようにしてください。 次に三角筋後縁・後部・中部・前部・小胸筋という順で触れていきますが、このときクライアントの前腕部を立てひざにした自分の膝の上に置いておくとこの後の上腕部がやりやすくなります。上肢をとるときにクライアントの腕をその体側において施術すると、上腕二頭筋や上腕三頭筋をきれいにとれないからです。流れのまま上腕二頭筋・上腕三頭筋に触れていき、腕を体側において腕橈骨筋・総指伸筋群、前腕を回内して総指屈筋群に触れていきます。その後手のひら、手指を触り合谷あたりをほぐした後、軽くストレッチをして上肢はおしまいです。使う手技は、拇指・四指・二指柔捏と適宜使い分けてください。上肢は触れる筋肉の数がそんなに多くはありませんので、簡単だと思います。でも気を抜かないで・・・
上肢が終わればもう一度頸部と肩上部・上背部を施術します。ここまで丁寧に肩・首に触れてくれるとクライアントとしても納得ですね。 今度は背中に入ります。これまでの肩甲骨間の施術である程度上背部は緩んでいると思いますので、ここでは主に脊柱起立筋にたいしてアプローチしていきます。当然ながらクライアントが右側を上にして横になっているのなら右側の、反対ならば反対の脊柱起立筋に触れていきます。背部の筋肉は種類も重なりも多いのでいちいち名称は出しませんが、どこをどういうふうに触るかというと、脊柱の外側で一番盛り上がっている部分を中心に拇指柔捏をかけていきます。これは非常にわかりやすいですね。胸椎の3番あたりから仙骨ギリギリまで、各脊椎の一つ一つを順番にしたへ下るようにもみ進みます。脊柱起立筋にのこぎりをかけているようなイメージです。なれないとけっこうしんどいです。最初に上背部をするときにこの施術を入れてもいいと思います。何度か同じことを繰り返します。腰がつらい人に対しては腰部の起立筋群を丁寧に触ります。
次は体幹の外側から腰方形筋を拇指柔捏です。腰痛持ちの人には必須ですね。充分押圧してしっかり柔捏をかけましょう。ひどい人はここにレンガが入っているようにゴリゴリしてます。硬すぎて親指が悲鳴をあげてるのが聞こえてきそうですね。でもがんばりましょう。 またまた余談ですが、腰部の筋肉(特に腰方形筋)は大腸の調子と関係が深いようです。といいますのも、慢性腰痛を訴えて来られる方には意外に便秘がちだったり、普段おなかがゆるい人が多くいます。そして鍼なりマッサージなりで腰痛治療すると長患いの便秘が治ったり、おなかの調子がよくなる人が少なからずおります。逆に便秘になったり下痢をしたり、あとガスがたくさん溜まって腰痛をおこす場合も多々あります。これについては「内臓・筋肉反射」がわりと説得力のある説明だと思います。今まで秘密にしてましたが、便秘やおなかの調子が悪い人には腰部の施術は欠かせません…
腰が終わればお尻です。殿部のメインターゲットは中殿筋・小殿筋です。この2つの筋肉は足・腰の疲れと非常に関係が深く、特に慢性の腰痛を患っている人が症状を訴えます。といいますのも、普段腰痛を持っている人はその痛みを逃がす為に微妙に骨盤の傾きを調整します。そのときに主に使うのがこの筋肉なのです。腰痛持ちの人がたまに太ももの外側にびんびん痛みを感じることがありますが、それはこの2筋の中を通っている大腿外側皮神経がこの筋肉に狡猾されて痛みを出していると考えられます。大殿筋も当然触りますが、腰痛持ちの人には必ず中殿筋・小殿筋を緩める必要があります。 ここで大事なことは今まで比較的深めに屈曲してもらっていた股関節を少し伸ばしてもらい、屈曲の度合いを修正することです。あまり深めに屈曲したまま施術をしてもききません。その角度については体幹の延長線に対して約30度ぐらいがベストです。浅すぎてもいけません。いろいろな角度で試してみてください。めったなことでは使いませんがここの施術では肘がかなり有効です。まぁそろそろ親指も休憩が必要ですし、ちょうどいいですね。ただ肘は指ほど繊細ではありませんので押圧するときはやはり気をつけてください。ゆっくりと押し込むと下肢全体に響きがあります。心地よいところで止めましょう。深追いすると嫌われます。肘での押圧が終わればやはり拇指柔捏をします。肘で大雑把に、指で細かく触るということですね。 下肢の番です。まず上に重なっているほうの足を施術します。お尻の続きで大腿部後側です。ここはおおむね3つのライン(中間・内側・外側)に分けて施術していきます。横向けでの施術ですのでやりにくいようですが慣れればなんということもありません。そのあとは下腿部(ふくらはぎ)ですがここも3つのライン(中間・内側・外側)に分けて施術していきます。こむら返りでお悩みの人には特に丁寧に触ってあげてください。片方の足が終われば今度は下になっているほうの足です。大腿内側を手掌(てのひら)で軽く柔捏していきます。けっこう痛がる人が多いのでご注意ください。その後下腿を触ってあげて、足底(特にアーチの部分)を柔捏して片方の施術が完了します。
やっと一段落ですね。ここまでのおおむねの施術時間ですが、全体の施術時間が60分の場合で25分~30分(症状が重いほうが施術時間は相対的に増えます)程度となります。それより長い時間ですとそれなりにという感じです。
この後は反対を向いてもらい、今までと同じ順序で反対側を施術します。反対側が終われば適宜下向き、上向きで施術しますのでその分の時間(おおむね10分~15分)を考慮して反対側の施術を終了します。 さてみなさんいかがでしょうか。うまく両方触ることが出来たでしょうか?まったり、ゆっくり、ソフトでディープなマッサージはリラックス効果絶大ですね。基本的に横向けの施術ですので妊婦さんでも安心して受けていただけます。それにいくら有孔ベッドでも長い時間うつ伏せで寝かされるのはつらいもんです。リラックスしようと思うとサイド・ライイング・スタイルが一番です。それでは次の段階に進みましょう・・・
両側の施術が終われば今度はうつ伏せでの施術に移ります。クライアントに声をかけ下を向いてもらいましょう。このとき枕を抜きます。枕があるままですと首に負担がかかりますのでないほうがよろしいでしょう。お顔は楽なほうに横に向いていただきます。まずはベッドの横に立ち腰部に触れていきます。腰部に対して両拇指圧迫をかけたいところですが、この手技は親指を痛めるリスクを伴いますのでうちではあまりやりません。あと脊柱両側の両拇指圧迫はクライアントの肋骨を押し込んで骨折の恐れがありますので同じくこれも割愛します。じゃあ何をするかといいますと、腰方形筋を片方ずつ順手で拇指柔捏していくのです。きつい場合は両拇指を重ねましょう。グーッと押し込んで硬結を正確に捉えて柔捏をかけます。特に背中がつらい人には脊柱起立筋も拇指柔捏をかけていきます。リリースしたら同側の小・中殿筋を柔捏します。通常しせい堂ではうつ伏せでは下肢は触りませんが、時間的な余裕がある、あるいはクライアントが特に希望する場合は続いて下肢も触ります。ここでも横向きのときにしたように、ハムストリングと下腿部をそれぞれ3線に分けて柔捏していきます。ゆっくり、ソフトでディープなしっかりとした手技を心がけましょう。気を抜くと乱暴になりがちですね。下肢の最後はやはり足底です。やはりアーチを中心に柔捏します。 片方が終われば当然反対側です。もう少しなのでばてないようにがんばってください。
うつ伏せの次は仰向けです。この時点で残り時間が10分~長くて15分ならいいでしょう。クライアントに上を向いてもらいます。そして大腿部に触れていきますが、意外と太ももの前っかわってこそばがる人が多いので気をつけましょう。わたしはやっぱり「こそばかったら言ってくださいね」と聞くようにしています。こそばがる人には触りませんがそうでなければこの部位は手掌(てのひら)や四指で柔捏していきます。股関節から膝に向かってやはり3つのラインにわけて触れていきます。一番外側の外側広筋は拇指柔捏でもいいでしょう。高齢者で膝の関節症を患っている人は極端に筋肉量が減っているので簡単なトレーニング方法を指導します。 次に下腿部前面、前脛骨筋を拇指柔捏します。ここには足の三里という超有名な経穴があります。ゆえにみなさんそこが一番大事だと思って一所懸命そこを柔捏したがりますが、それは少し的外れとなります。
ここで思い出していただきたいのですが、マッサージのターゲットはあくまで筋肉であり、経穴ではありません。確かに経穴は筋中にありますが、それとこれとは別問題です。ですので、みなさん前脛骨筋を触るときは三里にこだわらずに筋腹で一番ボリュームのある部位を意識してください。三里よりも少し内下方で脛骨に近いところがよく応えます。膝のほうから足背にかけて丁寧に触れていきます。そして最後に腓骨筋も忘れずに触ります。片方が終われば当然もう片方です。
このあと時間の余裕がさらにあれば、頭部を施術していきます。頭頂部から側頭部手前にかけては拇指柔捏、側頭筋(こめかみ~耳の上あたり)は四指で片側ずつゆっくり丁寧に柔捏していきます。百会のあたりが何故かドーゼが低いので注意しましょう。頭部の仕上げは、左右両方から手のひらで頭をはさみこむように圧迫します。まるで人間万力のようですが、意外と気持ちいいようです。それが終わればゆっくりと両肩を上から押し下げ、首・肩辺りを軽くストレッチします。その後、左右の小胸筋を四指でやさしく柔捏し、後頭下筋群を四指で軽く触れておしまいです。
上向きの施術のあとは適宜座っていただいて肩上部・肩背部・肩甲骨後面など仕上げ的な施術で幕を閉じます。このときにもみおこし(リバウンド)について説明します。わたしの場合は「今日は比較的しっかりめの筋肉マッサージを施しましたので、もしかしたら明日あたり筋肉痛のような感じが出るかもしれませんが、2~3日したらかえってすっきりするので、痛みが出ても心配しないでくださいね」とやさしく説明しています。この説明をせずに、本当にもみおこしが出たら信頼関係を失うことにもなりかねませんので、みなさんも忘れずにするようにしてください。
終わってからは出来るだけなごやかなムードをつくるように心がけましょう。しせい堂ではお茶を出しています。あと施術中はなるべくリラックスしていただけるようにゆっくりとしたテンポの音楽を流しています。まぁうちはすごく静かなところにあるので落ち着いて施術を受けていただけることは間違いないのですが。
さあ、これにてしせい堂式マッサージのご紹介はおしまいですが、みなさんいかがでしたでしょう?文字だけでわかりにくいと思いますが、ぜひ「まったり系」のしせい堂式の施術法(拇指圧迫往復ビンタ柔捏)を身につけてみてください。特に鍼灸師のみの免許でこの世界でやっていこうとする人には必ず強力な武器になります。えっ、マッサージの免許持ってないのにしてもいいのかですって?これは立派な後柔法(あるいは前柔法)なのです。鍼を打ったあと若しくは前に身体をさわって何が悪いのでしょう?ちょっと時間が長くなっただけでしょう・・・だいたいが世の中には免許もないのに堂々と徒手療法やってる人がいっぱいいます。それにくらべればずいぶんかわいいもんでしょう・・・
あと、オイルマッサージをしている人にもおすすめです!うちではしていますが、世の中で横向きでオイルマッサージが出来るところなどそうそうありません。普通のマッサージにしろ、オイルマッサージにしろ肩・首・上背部はうつ伏せや上向きではとうてい満足出来る施術は出来ません。そのことは実際に施術しているあなたが一番わかっているはずです。ほかのサロンさんとの差別化をするためにも効果的です。どうしてもこのページだけの説明ではわかりにくいという方は実際に施術を受けに来ることをお勧めします。「百聞はなんとか・・・」ともいいますし、実際に体験されるのが一番わかりやすいでしょう。と、やっぱり最後は宣伝で終わりました。